旅行写真のフォトブックはストーリーを大事に
――フォトブックはどんな構成にすればよいか悩みます。
旅行のフォトブックは、時系列で写真を並べるのが、思い出を振り返りやすいのではないでしょうか。出発から順を追って、最後は帰路のどこか、あるいはお土産の写真などで終わる流れでつくると、旅のストーリーが追いやすいと思います。
旅行中はフォトブックをつくるためにストーリー性のあるものを意識的に撮っておくのもおすすめです。飛行機の旅なら空港、電車の旅なら駅や電車など。家族旅行で荷物がものすごく多くなったら出発前に荷物だけを撮るのも楽しいですし、出発前日の子どもの寝顔の写真から始めてもかわいいかも。何気ない写真がフォトブックでは意外に使える一枚になります。
引き・寄り・縦・横を組み合わせる
――ストーリー性以外にコツはありますか。
旅のストーリーとは直接関係なくても、いろいろな写真が入っていると、見ていて飽きないし、楽しいフォトブックになると思います。
夏旅なら、トロピカルな雰囲気のジュースやフルーツ、カラフルな花などは、季節感のあるおしゃれなアクセントになりますね。旅先ではつい目線を遠くに向けがちですが、近くを見ると意外な被写体が見つかりますよ。
被写体のバリエーションだけでなく、撮る位置で変化をつけるのもおすすめです。同じものでも寄りと引き、縦と横など、いろいろな構図で撮っておくと、メリハリのあるフォトブックがつくれます。
レイアウトは見開き単位で考える
――おしゃれなレイアウトのコツはありますか。
私は淡いトーンの写真が多く、1枚だけ原色カラーの写真を入れると浮いてしまうので、全体的な色の統一感は意識します。写真を補正する場合はとくに、全体のトーンをそろえることを意識すると、おしゃれに見えると思いますよ。
ただ、それにこだわりすぎて使いたい写真が使えないのはもったいないし、夜の写真はどうしても暗くなりがち。すべてのトーンを合わせるのが難しければ、見開き単位に同じ場所の写真をまとめるだけでもトーンや雰囲気がそろいやすくなります。
――コマ割りや写真の表示サイズはどう決めていますか。
コマ割りは見開きごとに一つの作品をつくるような気持ちで、バランスを考えます。その旅を象徴するような一枚は大きくレイアウトしますし、表紙にも使いますね。
写真サイズは基本的には自分が気に入った写真を大きくし、レイアウトします。空や海の写真はきれいな色がアクセントになるので好きです。人物なら、笑顔の写真もいいですが、あえて子どもの手足のアップなどを大きく使うのもユニークでおしゃれな感じになりますよ。
自分で一からつくるのが大変なら、テーマに合わせた自動レイアウト機能のある富士フイルムの「イヤーアルバム」やフィルター機能がある「PhotoZINE BOOKタイプ」のようなフォトブックもあるので、おまかせしてもいいと思います。
あえて似たような写真を並べる見せ方も
――フォトブックづくりは、写真選びが大変という声を多く聞きます。
それは私も本当に悩ましくて、何枚に絞るかは毎回悩みます。ただ最近はたくさん写真が入るフォトブックがあるので、場合によっては無理に減らさず、思い出としてすべて入れてしまうのも一つの手かもしれません。
あえて似たような写真をたくさん並べて、微妙な変化を見せるのもおもしろいと思います。私は朝日や夕日の写真をよく撮るのですが、短い時間でどんどん空の色が変化していくので、それを並べてもきれいだなあと。
あとはカメラを構えると、子どもが遠くからかけ寄ってくることがありますよね。そんなときは遠くにいるときから、目と鼻しか写らないくらいギリギリ近くまで連写して、それを並べるのも動きがあって楽しいと思います。
旅はかたちにするともっと鮮明な思い出になる
――フォトブックはご自身もつくられるそうですね。
はい。私はものすごくたくさん写真を撮るので、撮りっぱなしにしてしまうことも多いんです。正直、データとしては残っているけれど、二度とお目にかからないかも…という写真もあります。それがフォトブックというかたちにすると自然と見返す機会が増えて、いつまでも記憶に残ります。
スマホの画面で見てもいいのですが、やっぱりプリントするとその場の空気感や独特の手触りのようなものを感じられます。不思議といつまでも見ていられますね。
会社員時代、ハワイの自然に惹かれて、時間をみつけてはハワイへ渡航。ハワイ在住のフォトグラファーとの出会いをきっかけにカメラの世界に魅了され、フォトグラファーの道へ。現在は東京を中心に日本全国・海外で撮影。ハワイ・ライフスタイル・フォトアワード2017グランプリ受賞。
2022.09.02公開
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