旅行写真をおしゃれに撮ろう!フォトグラファー Kailaniさんに聞く撮り方のコツ

旅行写真をおしゃれに撮ろう!フォトグラファー Kailaniさんに聞く撮り方のコツ

旅行中は美しい風景に感動したり、自然な笑顔があふれたり、いつもよりシャッターチャンスが増えるとき。旅の思い出はすてきな写真で残したいですね。旅行写真の撮影のコツを、美しい写真でハワイの空気感を伝えるフォトグラファーKailaniさんに教えていただきました!

逆光もシャッターチャンス、あとから「シャドウ」補正を

逆光で被写体が暗く写ってしまった写真例
逆光だと被写体が暗く写りがち…

――せっかく人気の観光スポットへ行っても、逆光でうまく撮れず、がっかりすることがあります。何かコツはありますか。

逆光で撮ると、たしかに顔は暗く写りますが、実は被写体が淡くやわらかな印象になります。私は逆光の雰囲気が好きで、あえて逆光で撮ることもあるほど。

少し暗い程度なら、あとから直せます。最近は多くのスマホに「シャドウ」補正機能があり、これを使うと、あとで暗い部分だけ明るくすることができます。

「シャドウ」機能を用いる前後の比較写真
左は補正前、右は撮影後に「シャドウ」を上げて補正した写真

あるいは撮影時にカメラの露出(明るさ)を上げる方法もあります。スマホの機種によっては画面をタップすると太陽マークが出るので、これを上下に動かすと露出を変えられます。ただ、人物の顔を明るくしすぎると、背景が白くなってしまうので注意。また夕日や朝日を撮影するときも太陽に明るさを合わせると、周囲が真っ黒になってしまうので、手前に木や山があれば、一度それらにピントを合わせて明るさを調整するのもおすすめです。

カメラの露出(明るさ)を調整して撮影した写真例

――Kailaniさんの写真はどれを見てもハワイらしい空気感が伝わってきます。どうしたらこういう雰囲気になるのでしょうか。

そんなに複雑なことはしていないんですよ。撮影後に「シャドウ」と「露出」を上げて、「ハイライト」を下げる補正をする程度。ハイライトはシャドウの逆で、明るい部分を暗くできる機能です。全体的に淡いトーンにすることを意識しています。

カメラで撮影することも多いのでパソコンで「Adobe Photoshop Lightroom」というソフトを使って補正しています。スマホのアプリ版もあり、そちらは無料で使えますよ。

シーン別「料理」「人物」「夜景」の撮り方のコツ

――旅先では食事も思い出。Kailaniさんの写真は料理もとてもおいしそうです。

料理を撮るときは逆光、または横からの光(サイド光)がよいので、レストランでは座る位置もポイントに。できれば窓際の席に座って、カメラは窓のほうを向けるのがベスト。直射日光だと光が強すぎるので、テラス席ならパラソルの下や日陰で撮るのがおすすめです。

おいしそうに撮影できた料理の写真例
おいしそうに撮影できた料理の写真例

――席選びも重要なんですね。料理の構図のおすすめはありますか。

実際に食べるときの目線でカメラを構えると、高さや角度のバランスがよくなります。テーブルの上にいくつかお皿があるときは、手前にピントを合わせて奥をぼかすと奥行きも生まれます。

――人物写真の撮影のポイントはありますか。

定番スポットでの記念写真は撮っておくといい思い出になります。ただ、大仏や塔のような大きな建造物と一緒に写すときに、立つ位置が建造物に近すぎると、人物が小さくなってしまうので、少し前に出るなど立ち位置を工夫してみてください。また、人物と風景を一緒に撮るときは、人物を中心から少しずらすようにすると、その場の空気感も伝わりやすいと思います。

人物を中心から少しずらして、人物と風景を一緒に撮った写真例

ただ、人物写真といっても、必ずしも顔を写さなくてもよいと思っています。たとえばビーチで貝殻を集めている子どもの指先とか、サンダルを履いた足とか、部分的に撮ってみるのもあり。あとで「こんな小さな手だったんだ」とか「そういえば、このサンダルよく履いてたなあ」なんて思い出すのも楽しいですよね。

――それ、すてきですね!夜景の撮影のコツはありますか。

いまはスマホやデジタルカメラの夜景モードが優秀です。ただ、ブレやすいのでできれば三脚を使うのがおすすめ。100円ショップにも簡易な三脚がありますね。三脚がないときは壁や台にカメラを押し付けて固定するか、それも難しければ脇をしめて撮影するのがブレ防止の基本です。

旅先では自分が感じたことを写真で表現するつもりで

旅先で心が動かされた風景の写真例
心が動かされたものを写真の主役に

――旅行では風景の写真を撮る機会も増えます。おしゃれに撮るコツはありますか。

スマホでもデジタルカメラでも、撮影時に縦横のグリッド線を表示させると構図が決めやすくなります。水平線や地平線をまっすぐにするだけで洗練された印象になりますね。

あとは自分が「これが撮りたい」と思ったものを多めに入れるとよいのではないでしょうか。きれいな空の色に惹かれたら、思い切って空をメインにすることもあります。

――Kailaniさんの写真は空の色も印象的です。

空の色がめまぐるしく変化する朝日や夕日の時間帯に撮ることが多いですね。とくに夕日が沈んだあとの15分くらいは、空の色が紫から濃い青、黒へと移り変わっていくマジックアワーと呼ばれる幻想的な時間。写真撮影にもおすすめです。

空を主役にした写真例

それから雨上がりにサッと晴れてきたら、虹が出ることも多いので、ぜひ太陽と逆の方向をチェックしてみてほしいなと思います。

――すてきな瞬間を撮り逃さないために心がけていることはありますか。

とくに何か意識したり、テーマを決めて撮ったりしているわけではなくて、「これがいい」と思ったら瞬間的にカメラを向けている感じです。その瞬間の自分の気持ちを写真で表現している感覚ですね。

旅先の美しい光景の写真は自分にとっても癒やしになるし、それをみんなと共有できたらうれしいなと。みんながハッピーになれる写真を撮りたいと思っています。

――ハッピーな写真は見返すのも楽しみになりますね。

そうですね。旅先では普段と違う写真が撮れるので、ウォールデコにしてインテリアとして壁に飾ったり、カレンダーにしたりするのもおすすめです。

旅先の風景写真はインテリアとしてもおしゃれですし、思うように旅ができないときは眺めるだけでも癒やされます。笑顔の家族写真なんかを見ると、落ち込んだときも元気になれそうですよね。写真をプリントしていつでも目に入るかたちにするのって、すごくいいなあと思っています。

ウォールデコにしてインテリアとした旅先の写真
ウォールデコにしてインテリアとした旅先の写真
Kailaniさんのプロフィール写真
フォトグラファー

Kailaniさん

会社員時代、ハワイの自然に惹かれて、時間をみつけてはハワイへ渡航。ハワイ在住のフォトグラファーとの出会いをきっかけにカメラの世界に魅了され、フォトグラファーの道へ。現在は東京を中心に日本全国・海外で撮影。ハワイ・ライフスタイル・フォトアワード2017グランプリ受賞。

2022.08.24公開